読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ニッポンヴィジョンズ審査員特別賞受賞作品 日本零年三部作第二部、『DUAL CITY』の情報は→ http://ek-stase.under.jp

日本零年三部作、第一作『イリュミナシオン』予告編

ニッポンコネクション 1 (同時代性、カタール)

映画 DUAL CITY

日本に帰ってきてもう一ヶ月近く経つ。

ニッポンコネクションで賞をいただいたことはとても嬉しいし、感謝の気持ちでいっぱいである一方、その励ましをさらに燃料にしたいという思いは尽きない。

 

ニッポンコネクションに参加させて頂けたことを、改めて本当に有難いことだと思う。

デュアル・シティを呼んでくださった、森宗さんをはじめとして、

ドイツ在住ボランティアスタッフのどなたも、仕事を沢山抱えて常に動き回っておられ、一方でとても親身にしてくださった。

食堂や、会場の内外は沢山の人でいつも溢れていて、自然と挨拶し、対話をした。

私はドイツへ行く前に、一つ、この旅のテーマを決めていた。

それは違うもの同士の共通点について考えること。

中東へ初めて行けるのもきっかけの一つだった。

 

実際には、ニッポンコネクションに参加しているスタッフの方達は、みんな日本語がペラペラで、日本のことを理解しているし、それを差し引いても、フランクフルトと日本は何かがとても似ていると感じた..。テンションというのか。なのでそれほど異邦人の思いをせず、すごく自然に過ごしてしまった。

監督や役者さんなど、作品と共に参加してらっしゃる方との交流も、肩の張らないものだった。

いくつか部門が分かれている中、若手やローバジェットの映画が多いと思われる、ニッポン・ビジョンズの作品は毎回同じ映画館で上映されるので、互いの映画を観に行って、Q&Aでは質問し合ったり、カフェで話したり、夜にはバーで遅くまで飲んで、映画祭で見た映画や、好きな映画や、お互いの映画について語り合った。みんな、インディペンデントな作り方をしている人たちなので、ビジネスライクな話も、すごく貴重だった。帰りは電車がなくなり、タクシーを探して、人気が東京よりずっとない、フランクフルトの道を歩いた。私はニッポンコネクションで出会った人たちに対して、謎の親密感があって、日本に帰って来た今も、それは消えていない。

これまで、自分のことを横のつながりでとらえたことがなかった。学校で芸術を学んだこともなかったし、そもそも大学自体、(もっと言えば高校自体)ほとんど行かずに今まで来てしまった。ニッポンコネクションで出会った人たちは、みんな、映画を自分なりによく考え行動した末に撮っていて、それは同時代性に間違いなく貫かれていて..
 私と、私が出会ったいくつかの映画には、もはやその時代というものが、映画という多大な努力が要るものに向かっていく、動機自体として、存在している。

 つまりそれは、逆風としての時代であり、自分がありのままに存在した結果としての、抵抗ということだ。

 ..森宗さんがfacebookで「Cockpit」と「息を殺して」の二作について、言ってらっしゃった、新しい日本映画、細部を描いていくことで、大きな構造について描くことをしている映画..

その成果が出ていると思われるかはわからないが、私もまた、それについて考えざるを得ない人間だ。

脚本を書いている時に、どうしても避けたかったことを最近思い出した。それは、「わかりやすい敵を作ること」..。映画として、カリスマ性を持った敵との対峙が面白いのはとてもよくわかる。でも、それは、私が映画を撮る意味ではない。現実では一人の敵を倒せば全てがハッピーエンドになることなんて、絶対にない。

 何を壊せば、悪いことがなくなるのか、現実に考えた数年の実感に対する嘘として、自分の映画を作れるほど、映画と私は遠くない。

 システムを具体的に(そして誠実に)捉えようとしたら、細部からでしか、把握できない。

もはや、何が何だかわからないのだ、例えば、ベルイマンの『恥』の戦争状態の様に。

その中でも自分の生活の中に、短い人生の中に、ブルドーザーの様に、時代が足跡を残していき..私たちにできることは..、私たちの人生という具体物につけられた、そのマークに、めいめいの人生をかけて、対することでしかない。時代は既に素知らぬ顔で通り過ぎている。

 

 

 

 

 

海外へ行くと、いつも教会にたどり着いてしまう。この教会は特にすごい高く尖ったゴシックな作りで、美術がすごかった。なんという名前かはわからずじまいだったが、恐らく有名なのだろう..。

 

 

f:id:yoknahasegawa:20150613110502j:plain

f:id:yoknahasegawa:20150613110345j:plain

 

 

 旅の前から、ミケランジェロのことについて、ずっと考えていた。

ミケランジェロの『ピエタ像』や、目が見えなくなったあと、手探りで作っていたという、未完成の作品..あの様な芸術作品を見ると、人間の憧れの力の強さに胸を打たれ、具体物に現れることを許された奇跡への、畏怖の気持ちで震える。ピナ・バウシュが「私を怖がらせてね」と本番前のダンサーに言い、実際に彼女の舞台の中に同様のものが存在するように、畏怖は、私が把握する芸術作品には常に存在する。

 

 

 

 

 

一方で、トランジット先のカタールで、ふと入った食料品のお店の廊下で、敷物を敷き、膝をついてイスラム教の礼拝をしている人を見た。宗教が日常的であることに、とても感銘を受けた。

 

カタールでは飛行機を降りた段階で同行したトムと一瞬ではぐれ、当初はとても不安だったが、とりあえず水を買い、「インターネットKIOSK」というフリーインターネットのスペースがあったので物価を調べ、両替し、空港からタクシーで30分の旧市街のホテルを予約し、なんとかなり、結果的には一人で1日過ごすことができ、良かった。

早朝から空港には働いている人が沢山いて、日中は、外にずっとはいられないくらいの熱さだった。

タクシーの車窓からは、工事中の建物が沢山見えた。

FH000016

カタールはW杯を数年後に控えているが、アジア人で旅行目当てにくる人もあんまりいないのか、エンジニアだと大抵思われた。また、お金持ちの国なので、吹っかけられたりなどの問題はなかった。タクシーの運転手さんや空港で働いている人と話をすると、みんな何処から来たのか?と聞いてきて、自分はガーナやスリランカやマレーシアから働きに来ていると、それぞれ故郷の国について話してくれた。

 

ホテルのクーラーの設定温度は、10度台(17度だったような)その代わり、夕方になってからどうしても歩いてみたくなり、ホテル近くを歩いた。

FH010022 FH010025 FH010024 FH010026 FH030005

イスラム教ということで、肌を出さないこと、むやみに目を合わせたりしないこと、靴の裏を見せないこと(世界の歩き方情報。無礼に当たるとのこと)、偶像崇拝に敏感なので、写真を撮る時も気をつけること、などは意識した。

カタールは物価が(インドなどに比べ)高いので(食料品は比較的普通。ホテルは最低でも5~6000円くらい。)、長期滞在は無理だと思うが、機会があったらまた行きたい、まだまだわからない国。

Photos of Qatar→

www.flickr.com